「父上大っ嫌い!」

 

ここは、魔王の間。ここにいるのは、御馴染みの魔王と、その重臣達、ラルト、ニス、ギガ。そして、魔王の寵愛を一身に受ける女マイラ。

実は、マイラは秘書のルイに仕事のスケジュールをかなり組まれ、仕事、仕事のがんじがらめになり逃げてきたのだ。「ルシファー、もう少し

私の体調も考えて、仕事減らしてよぉ〜(ムスっ)」そう魔王の膝の上で膨れっ面をするマイラ。そんなマイラの髪の毛をいじりながら、「そうだなぁ。

う〜ん・・・最近は人間界も不景気なら魔界も不景気だからなぁ〜。」「人間界は人間界でしょ!もぉ!私、戦争は好きだけど雑務は嫌い!」

といって、プイッと横を向く。するとラルトが「マイラ?仕事は雑務では無いし、とても大切な事だ。そろそろ帰ってやらないと、部下も生きた心地が

しないだろうよ。」と珍しくマイラに賛同しない。「え〜!?父上までそんな事言うのぉ?!」「珍し!ラルトがそんな事言うなんてなぁ?」とギガも

その意見には賛同。ニスも静かに頷く。「だって、マイラはまだ幼くとも魔将軍最高指揮官なのだから。戦う事を忘れ、国の仕事を真っ当出来る

時にしておかなければ、もっと溜まるじゃないか?(苦笑)」「・・・・・・。父上は、父上はマイラに過労死しろと!?(泣)」そう言って嘘泣きだが顔を

手で覆うと、「いつまでも魔王様といないで、さぁ!もう休めただろう?お仕事をして来なさい!帰りに美味しい所にでも連れていってあげるから。

ね?マイラは良い子だろう?」と厳しくも甘い言葉でマイラに言う。マイラは「ちっ」と内心思いながらも、父ラルトの前では猫かぶりなので、

「分かりました、父上v約束ですよ??」と言って、魔王の膝の上からラルトの所まで走り、人差し指を出す。これは、人間の世界で言う、

指きりげんまの魔界版で、人差し指を出し、互いの指先を軽く2回チョンチョンとする。すると、約束成立なのだ。

ラルトと指きりをし、マイラは自分の職場に帰っていった。猫をかぶって素直に帰ったマイラだが、本当はかなり嬉しかったのだ。ここ最近、というか

昔からラルトは忙しく、マイラの相手をしてくれるのは本当に少ない。同じ魔王城で働けるようになってから、少し休みの合間に話せる事だけでも

嬉しかったのに、食事に連れて行ってくれるというのは、かなりLUCKYなのだ。何だかんだいって、パパっ子なのである。

「おい、ラルト?」「はい?陛下?」「・・・・お前今日偉い強気じゃないか。いつもだったら、過労死なんて言われたらワァワァ騒ぐのに(親ばかだから)」

「はい。本当は騒ぎたかったんですが・・・。」『やっぱり騒ぎたかったんだ・・・>一同』と言って、何やら一冊の本を出してきた。本には、

『仲のもっと進展する親子愛』と書かれている。照れ気味のラルトだが、皆それぞれ思うことがあった。魔王の場合『親子愛の進展って・・・、お前

それは犯罪中の犯罪だろ・・・』ギガの場合『いや、本人は気づいていない所が怖ぇよなぁ・・・』ニスの場合『いい加減子離れしろ・・・』と思っていた

が言わない。「?皆どうかしましたか?」『ううん(きっぱり)>一同』「これによると、時として自分の本能を殺し、子供を理性を持ってしつけ

なければ、愛が伝わらないと書いてあったのを読んで、これはいい!!と思いまして(照)で、実行してみたんですよ〜(赤)」

『生真面目な奴・・・>一同』「どうでしたか?!」『狽ヲぇ!?;>一同』「い、いいんじゃないか?やっぱ甘やかしすぎても駄目だと思うし・・・>魔王」

「まぁな、いい試みかもな。>ギガ」「私も同感だな。>ニス」「さてと、この本のおかげで何だが気分がいいですよ。魔王様、先ほど連絡しておいた

書類を・・・。」「?・・・・・おぉ、それならこの引き出し・・・引き出・・・し・・・に・・・・??????;あれ?;何で・・・;あれ〜?;無いなぁ?;ラルト

知らんか?;」「知りませんよ!!;無くしたんですか!?;どうするんですか、今日合併国の大使に書類を発送しないと、間に合いませんよ?;

ただでさえ貴方様が待てと言うからギリギリまで待ったのに・・!」「ラルト!ギガ!ニス!」『!!?;』「・・・・一緒に探して?v(汗)」

『陛下〜〜〜〜!!!!!(激怒)>三人衆』「ご、ごめんなさい・・・;(しゅん)」

(マイラの職場)

「どうしたんですか、マイラ様!?;さっきまで仕事全然やる気なかったのに・・・>サモン」うぉぉぉぉぉぉぉ!と言わんばかりに仕事をするマイラに

驚きを隠せない部下サモンは、秘書官のルイに尋ねた。「先ほど、休憩で魔王様の所に伺った際に、三人衆のラルト様から、頑張ったらご褒美に

今日はお食事に連れて行って下さると約束したようで。」と述べるルイ。なるほどと頷くサモン。「ルイ!眠いからコーヒー入れて!サモン、そこの

書類、検査官のルヴィに渡して来い!炎冷は何処に行ったの!?」すると、他の部下が「炎冷殿は、遠方に出隊した第4部隊隊長補佐で、

M509Sシピリアで交戦中!!」

「すぐ呼び戻して!代わりに誰かを回せ!」「しかし!;」「たかだかシピリアの、しかも第4部隊の内乱ごとき、魔将軍の部下を使うなと伝令の

一つ打っておけ!早くしろ!!(怒)」「は、はい!仰せのままに!;」もぉ、ごたごたのここも一種の戦場と化している。「よし、よし、この調子だと

父上との食事も・・・(妄想中)うひっひっひっひっvvvv」といきなり顔が緩むマイラ。「コーヒーです。これ、コピー回しておきますね。」「ありがと!」

こうして、マイラはちゃくちゃくと仕事をこなしていったが。

(魔王の間)

あれから2時間も探したが書類は見つからず、データをかき集めて魔王、三人衆総出で書類の複製をする事になっていた。皆もう膨大の資料

の中から、それのみのを選出しなければ作れないデータばかりなので、かなり苦戦している。他の部下に頼もうという魔王の案も出たが、

「いや、このような魔王様の失態を部下に知れたら・・!;」というラルトの尤もらしい意見によって全員一致で止めた。只今の時刻は3時半。

速達は5時まででないと間に合わない。まるで、原稿の締め切りに追われる漫画家とアシスタント達だ。そして、このミスはのちにラルトにとって

最悪の引き金となる事を誰も予知出来なかった。。。

(4:55)

『出来たーーー!!!>一同』あらかじめ控えさせておいた郵便配達部の悪魔にそれを渡すと、「お疲れ様でち☆ありがと様でちたん☆」と

言って消えた。皆、肩を下ろす。全員机に倒れこんでいる。「づ、づかれたぁ〜・・・・(青)>ギガ」皆、同じ意見らしく、息があがっている。

「こ、今度からは・・・!ゼェーハァ〜;ぜっ・・・絶対に無くさないで下さいよ!・・・ハァ〜;(青)>ラルト」「は、はい・・・(青)皆よく頑張った。

いつも、いつも感謝感激だ;今日はもうこれにて、仕事を終わりにしてくれ;俺も疲れた;」『お疲れ様です。良いお眠りを、魔王陛下>三人衆』

ひざまづきながらしっかりと返事をする三人衆。こういう時は、きっちり決めるのである。「あぁ。おやすみ;」というと、魔王は寝室に続く廊下に

消えた。「ふぅ〜;今日は俺も早く帰って寝たい;」「私も同感だな;」「あぁ、ギガ、ニスもお疲れ様;また、明日。」というと、2人も別れた。

そこから、ラルトは荷物をまとめ、携帯に手をつけたまでは覚えていたが、そこから目を覚ましたら寝室だった。「・・・・ここは?・・・・!?」

と起き上がるラルト。横に控えていた爺やが「お目覚めでございますか、坊ちゃま?」「爺や。私はいつのまにここへ?」と重い体を半分起こしながら

爺やを見る。「はい。お坊ちゃまから、すぐに迎えをとの事で、いつも通り来ました所、もう外の階段の所で座ってお休みになられておりました。

坊ちゃま?風邪をひきますよ!?」と指摘される。何となく、ラルトもフラフラしながら廊下を歩き、そこに座ったのは覚えているが、そこから記憶

がない。「疲れたのでしょう。ごゆっくりとお休みを。お食事などは?」「・・・・あ、あぁ。食事か。しょく・・・・じーーーー!???;爺や!!今何時だ?」

と爺やに詰め寄るラルト。「どうなさったのですか!?;」「何時何分だ!?;」「12:30ですが?;」「12時・・・半・・・;(サー・・)」マイラとの食事の

約束をすっぽかしてしまった事に気がつくラルトの顔から、血の気が引く。そして、おそるおそる「マ・・・マイラは帰っているのか・・・?(青)」

すると爺やは溜息を漏らしながら「それが、何やら暗い顔で11時頃一人で帰って来まして、坊ちゃまは先に帰って休まれている事を聞くと、

急に震えたような声で・・・おやすみと・・・・。何かあったんですか、坊ちゃま?」その瞬間ラルトは全てを悟った。自分が仕事が終わったのは5時。

迎えの車が5:45。マイラの仕事は平均6時〜9時。起きた時間12:30。きっと、自分との約束を信じ、魔王城で一人で自分からの連絡、もしくは

迎えを待っていたのだろう。ハ!と気づき携帯を見ると、メールの山!着信の山!山!山!メールは7時からなので、まぁまぁ早めに終わったと

とれる。内容は『父上終わりましたv』『父上、まだですか>御仕事。』『ここで待ってていいんですか?行きましょうか?』『何で何処にもいないん

ですか?(泣)』など、かなり、グッサグッサくるメール内容に、ますます青ざめるラルト。最悪である。ただでさえいつも相手をしていないで、我慢

してもらっているのに、ぬか喜びもいい所だ。その事を爺やに相談すると、爺やすら青ざめて固まっている。流石のマイラでも今回ばかりは・・・

「それでも、一応お部屋の方を覗かれてみては?眠っていらっしゃるなら、そのままで又明日にして・・・。」という爺やの意見で、ラルトはそっと

気配も息も消し、覗いてみると。マイラは窓辺で飼っているペットのギャルちゃんを静かに撫でている。その目は、何も映さないような目だった。

かなり気まずい・・・・。しかし、一応起きているのでノックをする事に。「マイラ、今日は・・・ホントに・・・その・・・・;」と部屋には直接入らず、ドア

の前で下を向いて手をもじもじさせながら話すラルト。ふと見上げると目の前にはマイラが立っている。その顔は無表情だ。『ま、マイラがそんな

冷たい顔をするなんて〜(泣)』と思っていたら、「今日は、どうしたんですか?」と聞いてきた。今まで無表情だったマイラの顔が、曇っていて

手も握りながら震えている。今にも泣きそうだ。「あ・・・;今日実は魔王様が大使に送る書類を無くして、それを一から作るはめに・・!しかも、

ぎりぎりだったから速達で今日の5時までに送らなくてはいけなくてだな;何とか間に合ったんだが・・・・!;」「・・・だが、何です?」「・・・・・・・・。

ごめん。疲れ果てて気絶するように今まで眠ってしまったんだ。言い逃れも出来ないし、マイラとの約束を破った事も認める。本当にすまなかった!」

と言って頭を下げるラルト。マイラは何も言い返さない。「・・・・・お顔を上げてください、父上。」「!;」そう言われ、顔を上げるとマイラはキッと睨む

ような目でラルトを見た。少しおののくラルト。「私は、幼い頃から父上がお誕生日に帰って来なかったり、約束したのに・・・間に合わなかったり・・・!

でも、そんな事は仕方が無い事だと思って、マイラは今まで平気な顔をして参りました。」「・・・・。」「私は、所詮は父上に貰われ、養われている身。

仕事をこなす辛さ、苦しさなど分からない私に、父上を責める事など出来ませでした・・・。」目をそらしながら、俯き加減で話すマイラの姿を見て、

ますます泣いて土下座したくなるラルト。「でも、私も仕事をするようになって、その苦しみも辛さも、昔よりはすごく、すごく分かるようになって・・・!

私も時々部下との約束などを忘れてしまう事もありました。だから、父上の今回の失態も、私は責める資格も無いのかもしれません。でも・・でも・・

私は少なからずとも父上のお約束は大切にしておりました!!」と言って顔を上げるマイラの顔には少しばかり涙が、「マイラ・・・。」

「父上がいきなり食事やお買い物、お出かけに誘って下さっても、死ぬ気で仕事を終わらせるか、もしくは明日の早朝、終わってすぐ徹夜で取り

かかるか・・!あまりお時間の取れない父上との約束は、私にとって父上の想像を絶するくらい・・・大切で楽しみなモノだったんです・・!」

「・・・・・・・・(グサグサくるなぁ;)」ともぉ泣きながら訴えるマイラ。そこには、いつもの怖くて偉い魔将軍最高指揮官のマイラではなく、ただの少女

と言わんばかりのマイラの姿が、とても小さくてはかないモノに見えるラルト。普段どんなに大人の世界に入り、大人ぶって割り切ってみせても、

所詮はまだ15にも満たない人間の女の子。親の愛がまだ欲しい年頃なのだ。「だから、父上にとって私との約束は、私が仕事をする前と同じ

程度のレベルだと感じたんです。」「それは違うよ、マイラ!私は本当に悪かったと・・!」するとマイラは自分の部屋に入り、大きな声で、

「・・・今回ばかりはもう許しません!」「へ!?;そ、そん・・!;」「父上なんか・・父上なんか・・・父上なんか、大っっっっ嫌いです!!!!!」

と言ってバタン!!と乱暴に部屋のドアを閉め、鍵をかけた。ラルトは硬直。頭の上には『がーーーーーん!!』という文字が見える。遠くから

見ていた爺やが走ってきて、ラルトを揺らしたり声をかけたりするが、返事が無い。よっっっっぽどショックだったのだろう。そんなラルトを、一先ず

部屋に連れ戻そうと、爺やはメイド達と共にラルトを運んだ。メイド達をのけて、爺やは床に寝かせてもなおショックから立ちなおれてないラルトに

もう一度声をかけてみる。「坊ちゃま!坊ちゃま!?」「マイラが・・・マイラが・・・私の事を・・き・・・きら・・・(青)」と青ざめた顔でずっと同じ事を言い

続け、嫌いという言葉まで来ると、ピタッと言うのをやめ、又マイラが・・・から始まるのである。この状態では、明日になっても、もしかしたら半年

たっても立ち直るのは無理だろう。

続く・・・・

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